年の差カップル純愛異世界ダークファンタジー小説 終末のヴァルキュリア 第八話 リッカの攻防戦

2018年4月19日

第八話 リッカの攻防戦

森の中で響く銃声。飛び散る弾丸。僕は木に向かってMP7A1を撃つ。木に近寄って弾痕を見る。

僕の腕では、命中できるのはせいぜい20mといったところか。中距離戦闘では有効だが遠距離になると使えないな。

遠距離と言えばスナイパーライフルだけど、僕にはスコープのような光学機器が創造できなかった。

だから短機関銃で訓練するしかない。弾をばらまけばいくつかは当たる。僕は次の町へと移動する中、射撃練習を行っていた。

銃に関する知識は僕にはあった。銃が好きでネットや本で調べたり、モデルガンを買ったりして趣味を楽しんでいた。構造は理解できていたから、とっさに創造ができた。だが実戦となれば別だ。反動や手のぶれで命中精度が欠ける。訓練が必要だ。

「特訓をしても、筋力はつかないから握力とかの関係で、急激に銃がうまくなるわけじゃないぞ」

メリッサは少し離れたところで、僕がクロスボウで捕らえたイノシシをさばいている。

「わかっているさ。だから訓練が必要なのさ。手のぶれや反動の銃口のそれ方、そういうのを修正をすればもっと命中精度は上がる。実戦的な武器になる」

僕は知識で知っていた銃の構え方をとる。もっと水平に構えた方がいいな。

「今日はそれくらいにして、そろそろ日が暮れるぞ。夕飯の支度をするぞ」

――

たきぎを囲みイノシシ鍋を口にする。うまい。肉汁が汁にしみこんでおり、甘い。とろけそうな肉は口に入れると歯ごたえもあり野性的な味と調味料の辛みが混ざり合う。メリッサは料理がうまい。微妙な味付けや食べやすく肉を切ったりするのが得意で、鮮やかにナイフを使ってどんな肉でもさばいた。

ふと見ると、メリッサがこっちの表情を見ている。

「おいしいよ。僕好みの味付けだ」

僕がそう言うと、非常に喜び、「よかった! 頑張った甲斐があったぞ」と胸の前で手を合わせた。

こんな可愛い女の子が作った料理なら、僕は何でもうまいと答えるが、本当においしかった。

彼女は料理を作るたびに、味付けは濃いか、どういう料理が好きか、とにかく詳しく聞いてくる。僕好みの料理を作るために一生懸命になってくれている。それがたまらなくうれしかった。

「もうすぐ次の町のリッカだ、前よりも大きな町で人も多い。外人がいても奇妙に思われないだろう」

彼女は料理を木の器につぎながら言う。

「すると、エインヘリャルがいる可能性が高い?」
「そうだな、私もそう思う」

戦闘になるか……。僕は少し身震いをしながら、心を落ち着かせる。メリッサを守りながら戦う。その困難をやってのけなければならない。彼女を傷つけるようなことはしたくない。

僕は決意を新たにしながら、顔つきを引き締める。それを見透かしたのかメリッサは真剣な表情で、

「私のことはどうなろうとかまわない。むしろ盾にしろ。お前が生き延びることだけを考えろ」

それはできない。僕にはそんなことができない。メリッサを傷つけるくらいなら、死んだ方がましだ。

僕たちは食事を済ますと、森の中で夜を明かした。

森を歩いて行く。長い道のりだが、昼頃になると町が見えた。

「あれがリッカだ、予想通り人が多いな」

少し大きな町だ。城壁に囲まれていて、建物が数多く建っているのがわかる。僕たちがリッカに入ると今まで見たのと違う風景だった。町は整備されており、壁にひび割れが少なく屋根もしっかりしている。

人は言っていたとおり多かった。と言っても僕が住んでいた日本ほどではなく、ちゃんとまっすぐ歩ける。しかしそれは、大通りに入ると違った。

道にいっぱいの人が引き詰められ、日本で言うと花火祭りに行ったときの感覚だ。しばらく大通りを行ったところでメリッサは立ち止まる。

「いる……エインヘリャルがいる……」

血の気が引く。いるのか、この大通りの中で。

僕は小さな声で尋ねる。

「エインヘリャルの気配はどれくらいの距離で感じられるのか?」
「だいたい80mから100m前後だ。なんとなくわかる。とにかく姿が確認できれば確実にわかる。こちらは人混みに紛れて相手を探そう佑月(ゆづき)、私と手をつなげ。人混みに流されたら離ればなれになって危険だ」
「いや、大丈夫だ」

なんとなく、メリッサと手をつなぐのが恥ずかしかった。そんなバカな行動をしたのが間違いだった。すぐに人混みに流され離ればなれになった。僕に危機が迫っていることが肌で感じられた。

メリッサがいない。どこにいったんだ。

「お~い、メリ……ヴァルキュリア!」

僕は叫ぶ。

「お~いヴァルキュリア!」

あたりを探し回すがどこにもいない。

「おやおや、人をお捜しかい?」

老婆が親切にも尋ねてきてくれた。

「人を探しているんだ。銀髪の髪で目が碧い、民族衣装を着た美しい少女だ」
「それは大変だ、もしかして……」

老婆は考え込む。僕は老婆の様子を中腰でのぞき込むように見ていた。

「こういうことじゃないのかい――?」

何が起こったのかよくわからない。喉が熱い。手を当ててみると血がべっとり付いていた。
息ができない。

「かあっ! あっ!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃは!!」

老婆は笑う。手には銀色に光るショートソードがあった。
――まさか、エインヘリャル!?

次→第九話 リッカの攻防戦②
前→ 第七話 共犯
第一話→現実世界
まとめ→ノベル

にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へにほんブログ村 イラストブログへ