純愛異世界ダークファンタジー小説終末のヴァルキュリア二十六話二人の距離②を更新しました。

2018年10月10日

第二十六話 二人の距離②

 僕とメリッサは森の中で腕を組みながら歩いていた。誰も見ていないが何か気恥ずかしい。
昨日の今日だ、まるで中学生のような気分だ。それに対し、メリッサは何か民族音楽みたいな歌を歌っている。

 きれいで透き通った声。小鳥との合唱が静かな森に鳴り響く。なんだか心が温まる。朝からずっと歩きっぱなしだけど、全然疲労感がない。むしろ心が安らぐ。

 なんだか急に、メリッサはそわそわし出す。

「なあ、ちょっと一休みしないか」

 急にどうしたんだろう。具合が悪いのだろうか。

「どうかしたのかい、お姫様」

 すると白く透き通った肌がほのかに赤く染まり。

「私は疲れたんだ!」

 元気いっぱいじゃないか。でも彼女が休みたいというのなら言うとおりにしよう。ぐだぐだ揉めてケンカになったら大変だ。

 僕たちは木陰に入って休む。メリッサはそわそわが止まらない。顔が紅潮していた。何故か色気を感じる。僕はキスを待っているのかと思って体を近づける。

 彼女はさっと僕を避ける。どうしたんだ? かなり変だ。たまにこういうときがある。途中でどこかに消えることがある。

 何だろう。気になるけど、女の子の心に土足で踏み込んで話していいものかとまどう。ヴァルキュリアの特異の現象かもしれない。

 メリッサはあたりを見渡し慌てた様子で、「少し索敵に出てくる」と言う。

「じゃあ僕も」
「ついてくるな!」

 本気で怒られてしまった。何故か彼女を怒らせてしまった。いったいなんなんだろうか、彼女は慌てて森の中に入る。待っているのも退屈だから、僕は草陰で尿意を片づける。全部出し終わってからふと気づく。

 あ、そうか。僕と同じなんだ。神様といっても。飲み物や食べ物を食べているんだから外に出さなければいけないよな。

 そうか。そうか。

 思わず行為をしているメリッサを思い浮かべてしまった。まて、だめだそれはいけない。禁断の領域だ。絶対に想像してはいけないのがエチケット。紳士協定で決まっている。キモいおっさんとして嫌われたくないからな。

 僕は長い時間木々を眺めながら待っている。結構長い。いや、長く感じているのか。こうなるならメリッサに銃を出してもらって射撃訓練を行っていればよかった。急に森がざわめく。

「きゃあああ――!」

 あの声はメリッサ!

「メリッサどうした!」

 心がざわめくメリッサになにかあったのか!?

「メリッサどうしたんだ! メリッサ!」

 声の元へ進んでいく。

「へ、佑月? わ、来るな来るな!」

 来るな? 来ちゃダメなのか。状況がわからない。よく考えると僕に見られたらまずい状況かもしれない。ちゃんとこういうときに気を回さないと。何分か時間をおいたあと、メリッサは、「来て良いぞ、というか来てくれ早く、きゃあ!」と叫び声が聞こえる。

 僕は急いで彼女の元へ向かう。彼女を見て驚いた。彼女は襲われていた。なんか虫っぽいモノに。

「うわ、うわあああ!」

 メリッサは叫び声を上げる。それもそのはず。その虫はなんかゲジゲジしていてウニョウニョしていて、しかも足がいっぱいあって黒光りだ。そしてデカい。マジでキモい。それが数匹彼女の髪や肩についていた。女なら、いや男でも悲鳴を上げる状況だ。

「佑月(ゆづき)!取って、取ってくれ、私はゲジゲジしていてウニョウニョしていて、足がいっぱいあって黒光りでデカい虫はダメなんだ。助けてくれ!」

 見事にメリッサの天敵だな、おめでとう虫。

 僕はすぐにその虫を捕ろうとする、ううキモい。動きは遅かったのですぐに捕まえられたが、感触がヌルヌルしてグニョグニョして気持ち悪い。

 僕はすぐさま捨てて別の虫を捕る。気持ち悪いのを我慢する。

「とったよ」

 僕は優しく言う。

「本当か? なら服の中も見てくれ、虫が入ってるかもしれない」

 メリッサは服のひもを解き上半身をはだけさせる。美しいうなじ、天使の羽が生えているかのような白銀の肌の背中に情欲がわいてくるが我慢をする。

「ついていないよ 」

 僕は正気を保つので精一杯だったがきちんと見て確認する。下心ないぞ。気をつけたまえ。女は視線に敏感だからな。
メリッサは安心した様子で、

「じゃあ、スカートの中も見てくれ」

 いいんですか? ホントに見るよ。おじさん見るよ。

 メリッサはスカートの後ろ部分をたくし上げて確認させる。

「どうだ?」

 最高です。いや違う。メリッサの下半身は下着を着けていない。尻の筋肉が引き締まって上の方に上がって曲線美を描いている。足も細く引き締まって美しい。ほどほどについた筋肉で曲線がきれいなバランスで長くのびており、つやつやした白い肌が光に反射して輝いている。美しすぎる。

 このままずっと眺めていたかったけど、紳士協定でこれ以上見てはいけない。

「ついてないよ、前のほうはどうだい?」

 僕が言うとメリッサは、「前は自分で確認すれば良いだろ」と、むすっと言う。すみません。これが男なんです。

 彼女は後ろ向きで腕を広げたりスカートをまくったりして確認していた。

「よし、ついてない」

 ホッとすると衣服を整える。やっぱり女の子なんだな。

「ところでメリッサ」

 僕が言うと彼女はこちらへ向く。

「出すモノは全部出したか?」

――高速のひじ鉄が僕のみぞうちに入る! ぐはっ! 僕は息ができなくなって膝を折って胸をさすっている。

「ええ、とても快適でしたわ。おじさま」

 ひどく張りのあって低いトーンで一言一言ゆっくりとメリッサは言う。しまった油断していた。

――――――――――――――――――――――――

「だから、ごめん。許してって」

 メリッサは何も言わず無言で冷たい目で僕を蔑んでいた。これがもう十五分ぐらい続いている。

「ホントごめん僕がわるかったって。このとおり」

 僕は頭を下げる。メリッサは無言で僕を虫けらのように見つめていた。怖い。怖い。やめて。もう助けて。緊迫した空間のまま僕たちは森を歩き続けた。

「ごめんなさい! このとおり。このとおりだから!」

 頭を下げまくる。するとメリッサも疲れたのだろう。ため息をついて。

「お前情けないな。三十五のおっさんが十代の女に平謝りして。恥ずかしくないのか。プライドはないのか」

 十代の美少女にゴミくずのように蔑まれるくらいならいくらでも頭を下げる。背筋が凍るし、怖いもの。

「わかったよ。許してやる」

 お姫様からお許しの言葉が出た。

「ありがとう。素敵だよメリッサ」

 僕は胸をなで下ろす。

「その代わり一言一句まねしろよ」

 わかった。僕はうなずく。

「もうこんなことは僕は言いません」
「もうこんなことは僕は言いません」

 僕はメリッサに続けて言う。

「僕はメリッサをカノジョとして愛します」

 え? メリッサから出た言葉に僕は戸惑う。

「どうした?早く言え」
「僕はメリッサをカノジョとして愛します」

 胸を張って大きな声で言う。

「よし、私を大切にしろよ佑月(ゆづき)」

 メリッサは僕に抱きついてくる。僕はカノジョの肩に腕をまわす。幸せだ。なんて可愛い娘なんだ。こんな娘とカノジョだなんて。

 そのまま柔らかなカノジョの身体とひっつきながら次の街へ向かった。

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