純愛異世界ダークファンタジー小説終末のヴァルキュリア 三十二話 僕とメリッサを更新しました。

2018年11月24日

第三十二話 僕とメリッサ

 朝は過ぎ、日は僕たちの肌を切り裂くようにまばゆく輝いていた。家の屋根に上って黒いヴァルキュリアとラミディを待ち構える。目立つ場所だすぐに見つけてくれるだろう。

「おやおやこれは殊勝(しゅしょう)だ」

 颯爽と黒いヴァルキュリアが現れた。

「無様に逃げのびたと思えば今度は死ぬのを待ち構えているとは」

 黒いヴァルキュリアの口上にメリッサが微笑む。

「それはお前も同じだろう。戦士の誇りである盾をおいて敵に背を向けて立ち去るとは。よくもまあ私の顔を拝みにこれたものだ。また笑わせにきてくれたのか」

 メリッサは黒いヴァルキュリアの盾を投げて返す。あわてて黒い女は盾を拾う。

「ここまで侮辱されたのは初めてだ、銀色の。その白い肌から衣服を剥ぎ取ってバラバラにして広場にさらしておくゆえ、左様こころえてもらおうか」
「相変わらず上品だな。戦士なら剣で語ろうとはおもわないのか口だけではその鎧が泣いているぞ。まあいい。そのつら二度と見たくない。ここいらで決着としようではないか。なあ黒いヴァルキュリア」

 メリッサの吐き出された言葉に、黒いヴァルキュリアは唇をかみ口からひたりと血を流す。

「いいでしょう。先日の屈辱、その身で払わせてもらう。ラミディ!」

 名前が呼ばれると、地響きが鳴り響く。地面が揺れる。音だけで感じる恐怖。僕はこれを克服しなければならない。
 男の叫び声が聞こえたあと、僕は少し体勢を崩す。家が揺れている。見ると下側でラミディが家の柱に向かって突進していた。
このままだと家が崩れる! メリッサと僕はそばの家の屋根へとうつった。ドーンという音がして家が崩れていく。

「佑月あいつはまかせたぞ」

 メリッサの言葉に僕は親指を立てて歓迎した。

「信頼しているぞ。行くぞ!」

 メリッサは黒のヴァルキュリアに向かって行った。僕はラミディの頭部に向けてSG552を発射する。つんざくような銃声。戦の火蓋が切られた。

 僕は間合いを取りつつメリッサの居場所を確認する。あちらも戦いながらこっちの位置を把握していた。ラミディがすごい勢いでこちらの家に突進してきた。その姿を見つつ冷静に対処するよう心がけた。おちつけ、おちつけ。
 僕は道におりラミディを誘導する。ラミディがこちらに走り込んできたとき、奴の足に僕が仕掛けた罠が襲いかかる。罠はラミディの足を離すまいと力一杯からみつく。そう、トラバサミだ。
 トラバサミが奴の筋肉へと食い込む。昨日の昼間買い物していたのはこの用意だ。前に弓のエインヘリャルが巧みにつかっているのを見て、応用しようと買い込んでいた。

 筋肉はトラバサミの刃は食い破らなかった。が、骨へと大きいダメージを与える。

「オオオオオオオ――!!」

 ラミディから放たれる咆吼(ほうこう)。すかさず奴の膝の下に精密射撃を行う。
弾はやつの膝下をとらえてから明後日の方向へ流れていく。

 僕は銃を放つと同時にあらかじめ記憶しておいたルートをたどった。並んでおかれた木箱の上に中腰でラミディを待ち構える。ゆっくり、ゆっくりと奴はこちらに向かってくる。
 
 奴の足がロープに引っかかると相手の近くにあった木箱から仕掛けておいた鉄の刃が飛び出した。空気を切り裂き血を欲した刃がラミディの胸を襲う。だが、大男の肉体を切り裂くことはできなかった。しかし、打撃は相手に伝わる。僕は止まっているラミディの膝下に精密射撃をおこなう。

「グオオオオ――!!!」
 痛みにこらえなくなったのだろう。ラミディは叫び声を上げて、膝の下を抱えている。うずくまっているところへ頭部にバースト射撃をおみまいする。激しい銃撃にラミディの頭が揺れていく。
 やつの顔が苦悶で歪む。その間に弾幕を張って距離を取り、次のルートに誘い込む。ラミディは怒りに震えていたが足を引きずっていた。

 よし、足を封じている。いきなり走り込まれる心配はなくなってきた。だが油断は禁物。僕は手を緩めるつもりはない。
 ラミディがこちらに襲いかかろうとしたとき僕はロープを切る。三階建ての住宅に掲げられていた横断幕がラミディに被さる。ラミディが視界を失っている間、またもや膝下に射撃する。実は僕は左膝ばかり狙っている。利き足なのかどうか知らないがラミディは左膝から踏み込んでくる。その足に力が入らないとすると、殴りかかることは困難だろう。

 ラミディは苦し紛れに近くにあった樽を放り投げてきた。樽が壁に当たって壊れて木の破片がそこら中にまき散らされた。僕は慎重に避けラミディに隙を与えない。

 頭部に弾をプレゼントする。二発命中、ラミディは大きくのけぞる。弾幕を張りながらラミディを回り込み、元来た道をたどった。僕は頭の中で発射した弾の数を数えていた。弾の数が残り少ない。メリッサと合流しないと。

――メリッサと黒いヴァルキュリアは盾と剣を構え相手の隙をうかがっていた。

「どうやら私のパートナーは上手く立ち回っているようだ。黒の戦士、いよいよ追い詰められてきたな」

 メリッサは黒いヴァルキュリアを挑発していた。

「ラミディ、あいつ脳みそまで筋肉でできているのか。見事に対策を取られているではないか。ええい、銀色。お前のエインヘリャルはお前がいなければ武器を補充できないと見える。私がお前を引きつけていれば私たちの勝ちだ。お前に武器を与える隙を与えるものか」

 メリッサは静かにくすりと笑う。

「やってみろ」

 メリッサはそう答えると、激しく盾で相手の盾に体重をぶつける。
黒の盾の左側に当てると、盾の右側に蹴りをたたき込む。そうすると、黒いヴァルキュリアの中央部が斜めの角度になって開いてる状態になった。
 そこへ柄で喉元を殴る。黒いヴァルキュリアがうずくまると、メリッサは容赦なく
黒の頭部の右側に片手剣を切りつける。黒いヴァルキュリアは右手の片手剣でなんとか防ぐがメリッサは胴体部を蹴りつける。重そうな蹴りを受けて、衝撃で黒いヴァルキュリアはふっとぶ。

 その間にメリッサは明後日の方向に向かう。

「まて! 銀色! どこに行くつもりだ!?」

 屋根の下側にちょうど僕が走り込んできたのが見えたようだ。

「佑月!」
「メリッサ!」

 二人は無事を確認すると安堵の表情を浮かべた。

「――ヴァルキュリア、僕に力を貸せ」

 メリッサは僕に新しいSG552を渡す。

「さあここからが本番だ、いいな、よし行け! 佑月!」

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