純愛異世界ファンタジー小説 終末のヴァルキュリア 第百三十二話 頼りにならない仲間

2021年8月2日

「どういうつもりだ?」

 僕は草陰から現れた、黒髪のたぶんエインヘリャルかヴァルキュリアだろう、彼女に尋ねた。

「どういうつもりもありません! 私たちとてもか弱いんです! とても貴方様に適うはずがないんです、だから許してください! 見逃してください!」

「お前ラグナロクの趣旨わかってるか? 強いエインヘリャルが12人生き残る戦争だぞ、それを見逃せって、……というかよく今まで生きてこられたな」

 メリッサはそう呼びかけ、そして女性に対しため息をついた。

「ずっと隠れてたんです、逃げ回っていたんです、でも突然エインヘリャルが現れたんで彼が動揺しちゃって、思わず撃っちゃったんです、ごめんなさい!」

「ごめんも何も、枠は限られているから、見逃すわけにはいかないでしょうに」

 エイミアが冷たい目でそう言い放った。まあ、この戦争のルールを考えれば当然だろう。

「どうしても許してくれないんですね! わかりましたこちらにも考えがあります!」

 突如その女性はいきなり地面に大の字になり、仰向けになった、何のつもりだ……?

「さあ、どうぞ! 私を好きにしてください! どうせ男の人が考えることなんてわかってます! 私を犯したいならどうぞ! 貴方のご自由に、でも命だけは助けてください、私は何でもしますから!」

「とか言ってるぞ、佑月どうするんだ……?」

 呆れた様子で僕の方に冷たい目で言葉を投げかけた、いやどうしろってそんな気はないし、第一僕にはメリッサがいるし、そんなの出来るわけないだろ。

「いや、あのさあ、僕には心に誓った人が……」

「そんなのどうでもいいでしょう! 男の人なんて、女と見れば誰でもいいんでしょう! 私を好きに犯してください! 私なんでも言うことききますから! どんなプレイでもいいですよ! 何したってかまいません、私は何されたってかまわないですから、さあ、どうぞ!」

 僕は大きくため息をついた。

「とりあえず立ってくれ」
「立つ!? 立ってする体位が好きなんですね、わかりました、どうぞお好きに!」

「いや、だからそんなつもりないから」
「ちょっと待ってください! 私に女の魅力がないということですか! 私がヤられる覚悟をしているのに、アナタはそれを拒むんですか! そんなのひどいじゃないですか‼」

 ええ……。めんどくさい女性だな、この人も。

「いや取りあえずその彼とやらも呼んできて話をしよう、そして落ち着こう」
「そうですか! 彼と交えて3Pがあなたの性癖なんですね! わかりました、どうぞ!」
「──いいから落ち着け! 話をしようっていうんだ!」

 僕が声を荒げたことに、その女性はびっくりした様子できょとんとした眼をしていた。どうやらそれが効果があったようで冷静に戻ったらしく、こちらに敵意がないことがわかったので、安心して彼と言っていた男を呼び、開けた場所まで同行して、とりあえず、事態が呑み込めるよう話を聞いてみることにした。

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「ごめんなさい! ごめんなさい! まさか、メリッサさんと結婚式間近なんて、そんなの迷惑ですよね! 本当にすみません!」

「いや、わかった、わかった、落ち着いて、えっと君はレイラっていうんだね、それと彼がアデル」

 僕とメリッサと彼女らはひとまず自己紹介をした、黒髪の美しく被害妄想が強いのがレイラといって、横で不貞腐れる若い金髪の彼と言われたのはアデルというらしい。

「あ、はい……そうです」
「ん」

「アデル! 交渉の最中に、何故、貴方はそんな態度を! 失礼だろう!」
「えっと君は……?」
「申し遅れました、エインヘリャルのレイラのヴァルキュリア、ユリアです。アデルのヴァルキュリアがこの子どものサラです」

「……おじさん、いじめない……?」

 僕の質問に、茶髪のヴァルキュリアのユリアと、蒼い髪の小さなヴァルキュリア、サラが挨拶をした。

「で、アナタたちは、自分たちに危害を加えないよう私たちにお願いしたいわけね」
「失礼ですが貴女は?」

 エイミアが口をはさんできて、ユリアが不思議がった。

「ああ、私、ヴァルキュリアのエイミアよ、彼らの助っ人かつエースね」
「まさか、エイミアって、あの、神階第一階層の伝説のヴァルキュリアのあのエイミアさんですか⁉」

「そうよ、私の事を知ってるみたいね」
「当然ですよ! 神界大戦で三柱を倒し、ヴァルキュリア大戦で、創造神に背きながら、唯一生き残った高位ヴァルキュリア! 私、大ファンなんです! お会いできて光栄です!」

「あら、こんなところにもファンがいるなんて嬉しいわー」
「申し訳ないけど、その話は後にしてくれないか、さらに話がややこしくなる」

 二人のやり取りに僕が口をはさんだ、すごく興味があるけどレイラがさらに混乱するから、余計な情報を加えるのは勘弁してもらいたい。もう、すでに彼女はきょどっている。

「えっとレイラ、でいいかな?」
「は、はい、佑月さん!」

「取りあえず僕たちは危害を加えるつもりはないがこの先どうするんだい? このまま逃げ隠れしても枠が決まっている以上、いずれ君たちが危害を加えられるのは間違いないぞ、それを撃退できる能力を持っているのかい?」

「え! そうなんですか! 私治癒の能力しかもってませんし、アデルは物を作る能力だけで戦闘能力はないのに……!」

 ノープランか。

「おい、レイラ、お前はともかく俺の能力までぺちゃくちゃ話すなよ!」
「あっ、しまった!」

 アデルの当然のツッコミに驚くレイラ。だめだこりゃ。僕とメリッサはため息をついた。

「どうするつもりだ佑月、まあ、赤の他人だしそのままほっとくか」
「ええっ! どうしよう……」

 メリッサの言葉の投げかけに、さらに動揺するレイラだった。

「わかりました! 私、佑月さんの愛人になります! だから助けてください!」
「アホかレイラ、お前俺と付き合ってるんじゃないのかよ」

「でもアデルこのままだと私たち死んじゃうよ、もう佑月さんに頼るしか……」

 レイラの提案にぎょろりとにらむメリッサ。わかってるよ。

「それはお断りする、……わかった、これから闘技大会が開かれるのを知っているかい、僕たちはその仲間を探しているんだけど……」
「おい、待て、佑月! こんな足手まといを仲間に入れるつもりか!」

「でもさあ、このままほっとくのもあれだしな、それにレイラ、君は治癒能力が使えるし、アデルは物を作れる能力があるんだろ、さっきの矢はクロスボウだったな、なら武器を作れるだろう、使いようによっては戦力になる。二人だけでは戦闘能力は皆無だが」

「ええ、私たち、佑月さんの仲間に入れてくれるんですか! 助かりますー。ありがとうございます! ありがとうございます! ほらアデルもお礼を言って」
「何で俺のことまで勝手に決められるんだよ」

「アデル! せっかくの機会だろ! こんなチャンスめったにないぞ! むしろお前が頭を下げて頼め!」
「……おじさんいじめないの……?」

 レイラとアデルのやりとりにユリアとサラが割り込んでくる、ああ、わちゃわちゃしてきた……。メリッサが不満そうなのでエイミアに意見を尋ねることにした。

「エイミア、どう思う?」

「私? どうせ戦闘能力がないなら佑月が寝首かかれる心配もないしいいんじゃない? 物作る能力はどう生かせばいいか私はアイディアがないけど、治癒能力は闘技大会で役立つんじゃないの、エインヘリャルが怪我をすると回復に時間がかかるし、むしろ良いんじゃない」

 エイミアの意見にメリッサは考え込んだ様子で、それで一言。

「佑月、お前の判断に任す」
「ありがとうメリッサ、……というわけで、君たち僕と一緒に戦ってくれるかい?」

 と僕はレイラに尋ねると彼女は大喜びで、

「ありがとうございます! ありがとうございます! 助かります! 何ができるかわかりませんが精一杯頑張ります!」
「……わかったよ、このままじゃ、いつ死ぬか不安だったしな、まだましか」

 こうしてレイラとアデルが仲間に加わった、ああ、なんか厄介なものを抱えた気がするが、最善を尽くすか。

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