終末のヴァルキュリア 第七十八話 守るべきもの②
「ヴィオネス様! 武器をお換えください。地上戦では不利です!」
「そうか、あれがあったな」
どんどんヴィオネス達の地面が盛り上がっていく。何事かと銃を構えた。バチリと電気が弾ける音を上げ雷光が迫ってくる。僕は電流 ...
終末のヴァルキュリア 第七十七話 守るべきもの
そうだ、あの女の子が危ない! 思わず僕は駆け出した。足を大きく踏み出し、膝を高く上げる。SG552を両手で持ちながら、肩で息をした。──間に合ってくれ。
「メリッサ、君の方が足が速い。先回りを頼むぞ」
「わかった ...
純愛ファンタジー小説 終末のヴァルキュリア 第七十六話 挑戦者②
「佑月! 一気に潰すぞ」
「それは得策ではないんじゃないかな。相手の能力自体が非常に高い、能力を生かして守りに入られると厄介だ。あの性格だとすぐにやってくるだろう、それを迎撃したほうが効率がいい」
「何故消極的にな ...
純愛ファンタジー小説 終末のヴァルキュリア 第七十五話 挑戦者
蒼い空に顔を向けると鳶(とんび)に似た鳥が羽ばたき鳴いた。眩しい日差しに金髪を照らし十代後半だろう、長い髪の毛を後ろにくくった少年が大きな家の屋根に上っていた。顔は陰になって見えないが、隣には鎧をまとった女性がいた、間違いないエイン ...
純愛ファンタジー小説 終末のヴァルキュリア 第七十四話 嫉妬
「あきれたものだ。連れて帰ってくるとはな」
メリッサは眉をひそめて、じっとりとした湿っぽい目でこちらを見る。僕が日向さん似の女の子を連れて宿へと帰った時、そろりと部屋に入った途端、浴びせられた最初の小言がこれだ。 ...
終末のヴァルキュリア 第七十三話 判断②
夕食はメリッサが作ってくれた。緑、橙、赤、紫、色とりどりの野菜の入っており、肉汁たっぷりでこってりとした角肉が浮いている、見るからに美味しそうなスープだ。
この時代の硬いパンはもう慣れた、これを我慢すれば僕にとって最高 ...
終末のヴァルキュリア 第七十二話 判断
「おい、やめろ!」
僕は男の店の主人の腕をつかみ、幼女との間に入って暴行を止めた。衝動的な感情に駆られて体は理性ではなく情で動いていた。
「なんだあ、てめえ。外人か、すっこん出ろ!」
男の店の主人に ...
終末のヴァルキュリア 第七十一話 新たな街
「風が気持ちいいー」
柔らかな銀色の髪の毛を風になびかせながら、メリッサは僕のとなりで馬車の揺らぎに身を任せている。僕はそれを眩しそうに見つめていた、彼女だけは失ってはならない、メリッサは僕のすべてだ。
実 ...
終末のヴァルキュリア 第七十話 終末の世界
僕は砂漠の薔薇に恋い焦がれた
灼熱の大地の中、香り立つ甘い花
誰れかがいるのか、誰れかがいないのか
すべては砂の粒、このコンクリートでさえも
世界を潤す雨の粒
紅い花びらを艶 ...
終末のヴァルキュリア 第六十九話 不器用な愛②
「え………………? うそ……。うそ……だよね?」
日向さんは言葉を詰まらせ、身を強張らせた。
「嘘じゃない私と佑月は付き合っているんだ」
メリッサが畳みかけたため、僕はいたたまれなくて目をつぶったのであ ...