小説,終末のヴァルキュリア

 銃声の恐怖に怯え、悲鳴を上げ、狂ったように荒ぶる人々の群れ、これは当然だろうしかし、この世界の人間が銃声を聞いてそれが危険な音だと察知していることに、僕は少し違和感を覚えた。

 今までの経験から言うと、この世界の人間の反 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「ねえ~ユヅ。ドルトの町についたよ、これで、やっと、宿に寝られるね!」

 一週間ほど移動で歩いたがメリッサはずっとこの調子だった。
気持ちが沸き立つのは理解出来るが、このハイテンションに付き合うのは本当に疲れる。ど ...

小説,終末のヴァルキュリア

 嵐が去って僕たちの次の目標地ベリカに向かって、鬱蒼(うっそう)とした森の中を歩いていると、漫然と木々を見つめている、白くて可憐な柊の花のようなものが咲いていた。じっとみつめていると、メリッサがこちらの様子を覗(うかが)って、「あれは ...

小説,終末のヴァルキュリア

「何故……ぼくが……こんなことに。頭がクラクラして……目が見えない……解っているかミリア、これは自殺だぞ……」 神への恨み言のようにぽつぽつとセルモアはつぶやく。

小説,終末のヴァルキュリア

「ははっ、今度は命乞いかい?」 僕はにやりと笑う。誰が命乞いなどするか、演技に決まっているだろ。まずはサーベルを置き、セルモアの警戒心を解かせる。

小説,終末のヴァルキュリア

 セルモアが鎖のついたおもりを支えている、木のつっかえ棒を外すとさっき来た扉が閉まる。「この城壁は特殊でね。ここに来た人間を閉じ込めるために、罠を張っているんだ。こちらの扉を閉めると、跳ね橋の向こう側から扉を開ける仕掛けを動かさないと ...

小説,終末のヴァルキュリア

「だって……止めることができなかった……愛しているって抱きしめられてキスされたら……止められなかった」 ミリアが呪文のようにつぶやく。まるで人形のように。

小説,終末のヴァルキュリア

 ミリアは朱色のドレスを着て花柄のベールをつけている。そのとなりには、ロハ族衣装を飾ったメンフェスがいた。美男美女が美しく着飾ったその姿は絵に描いたような新郎新婦であり、幸せを描いたようだ。 合唱される歌と楽器の演奏の中、中央のウェデ ...

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 朝、目がさめると甘い匂いに惹きつけられる。「おはよう、佑月は寝坊しまくりだな。シチュー作ったからな、ここは野菜が豊富でなあ、割とバランスの良い味になってるから食べてくれ」

小説,終末のヴァルキュリア

 ……夢。夢を見ている。メリッサがウェディングドレスを着ていて、僕に優しく微笑みかける。それは神聖な時間。彼女はそっと目を閉じ、こうつぶやく、”愛してる”と。彼女の濡れた唇が僕の口元へ届き、そっと時が止まった。最高の夢だ。ああ、神様、 ...