小説,未分類,終末のヴァルキュリア

 蒼い空に顔を向けると鳶(とんび)に似た鳥が羽ばたき鳴いた。眩しい日差しに金髪を照らし十代後半だろう、長い髪の毛を後ろにくくった少年が大きな家の屋根に上っていた。顔は陰になって見えないが、隣には鎧をまとった女性がいた、間違いないエイン ...

小説,終末のヴァルキュリア

「あきれたものだ。連れて帰ってくるとはな」

 メリッサは眉をひそめて、じっとりとした湿っぽい目でこちらを見る。僕が日向さん似の女の子を連れて宿へと帰った時、そろりと部屋に入った途端、浴びせられた最初の小言がこれだ。 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 夕食はメリッサが作ってくれた。緑、橙、赤、紫、色とりどりの野菜の入っており、肉汁たっぷりでこってりとした角肉が浮いている、見るからに美味しそうなスープだ。

 この時代の硬いパンはもう慣れた、これを我慢すれば僕にとって最高 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「おい、やめろ!」

 僕は男の店の主人の腕をつかみ、幼女との間に入って暴行を止めた。衝動的な感情に駆られて体は理性ではなく情で動いていた。

「なんだあ、てめえ。外人か、すっこん出ろ!」
 男の店の主人に ...

小説,終末のヴァルキュリア

「風が気持ちいいー」

 柔らかな銀色の髪の毛を風になびかせながら、メリッサは僕のとなりで馬車の揺らぎに身を任せている。僕はそれを眩しそうに見つめていた、彼女だけは失ってはならない、メリッサは僕のすべてだ。

 実 ...

小説,終末のヴァルキュリア

僕は砂漠の薔薇に恋い焦がれた

灼熱の大地の中、香り立つ甘い花

誰れかがいるのか、誰れかがいないのか

すべては砂の粒、このコンクリートでさえも

世界を潤す雨の粒

紅い花びらを艶 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「え………………? うそ……。うそ……だよね?」
 日向さんは言葉を詰まらせ、身を強張らせた。

「嘘じゃない私と佑月は付き合っているんだ」
 メリッサが畳みかけたため、僕はいたたまれなくて目をつぶったのであ ...

小説,終末のヴァルキュリア

「佑月! 心配したぞ──!? ……エインヘリャル……!」

 訝(いぶか)しそうに立ち止まり、メリッサが日向さんに対して身構えた。しかし、日向さんは何事もないかように、迷い込んだ子羊にやさしく接した。

「ちょっと ...

小説,終末のヴァルキュリア

「日向さん……」
 これが現実なのかと、にわかには信じがたかった。

 目の前にいたのは中学生の頃、僕の初恋の人だった日向直子その人だった。

 僕が恋した、中学生そのままの姿で現れた日向さん。僕は急に淡い ...

小説,終末のヴァルキュリア

「うっす、今日も佑月くんはご機嫌だね、カノジョでもできた?」
「僕はいつも通りだよ」
「知ってる」

 日向さんは朗らかに笑い、しかも熱っぽい視線を出しているように思えてならない。あれからというものの幾月も流 ...