小説,終末のヴァルキュリア

「池田君、きみ今日も宿題やってこなかったでしょ」

 突然に教室で女子に話しかけられたので、僕は思わずのけぞった。セーラーの夏服に教室へと光が差し込んで、白くきらめいていた。

 艶やかで短く切った黒髪で、目鼻がく ...

小説,終末のヴァルキュリア

 崖からまっ逆さまに両足を地面にたたきつけられた、戸惑いながらも相手の追撃が来ないよう中腰で走り抜けようとするが足が動かない、転がるようにその場を離れるしか、もはや方法はなかったのだった。

 案の定僕の落ちた先に12.7ミ ...

小説,終末のヴァルキュリア

 うっすらと見える黒い影、所々見える色の違い、わずかな呼吸による振動、間違いない奴はそこにいる。

 僕は銃を構えた。ほぼ点に見える相手に銃を向ける。だめだ! この距離では当たらない、スコープが使えない僕は、目視で命中させな ...

小説,終末のヴァルキュリア

 山から僕の体がずるずると滑り落ちていく、下手に落下運動に抵抗して勢いが削がれてしまったようだ。こんなところをスナイプされるとまずい、体に岩や木やらがぶつかり、僕の肉体を痛めつけた。

 強打され僕の体はボロボロになっていく ...

小説,終末のヴァルキュリア

 スナイパーのいると思われる山に真っ正面から登らずにのとなりの山に登った。もし、真正面から行くと相手に気づかれるかもしれない、敵は油断のならぬ相手、もしかすると何重にも罠を張り巡らせているかもしれない。なら、横から奇襲をかけるのが常道 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「どういうことだ? 絶望的だと言っていたじゃないか、何か必勝の策が思いついたのか?」

 メリッサの問いに軽く明朗な口調で答える。

「必勝の策なんてないよ。ただ作戦は思いついた。僕は自信がある」
「佑月( ...

小説,終末のヴァルキュリア

 銃声の恐怖に怯え、悲鳴を上げ、狂ったように荒ぶる人々の群れ、これは当然だろうしかし、この世界の人間が銃声を聞いてそれが危険な音だと察知していることに、僕は少し違和感を覚えた。

 今までの経験から言うと、この世界の人間の反 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「ねえ~ユヅ。ドルトの町についたよ、これで、やっと、宿に寝られるね!」

 一週間ほど移動で歩いたがメリッサはずっとこの調子だった。
気持ちが沸き立つのは理解出来るが、このハイテンションに付き合うのは本当に疲れる。ど ...

小説,終末のヴァルキュリア

 嵐が去って僕たちの次の目標地ベリカに向かって、鬱蒼(うっそう)とした森の中を歩いていると、漫然と木々を見つめている、白くて可憐な柊の花のようなものが咲いていた。じっとみつめていると、メリッサがこちらの様子を覗(うかが)って、「あれは ...

小説,終末のヴァルキュリア

「何故……ぼくが……こんなことに。頭がクラクラして……目が見えない……解っているかミリア、これは自殺だぞ……」 神への恨み言のようにぽつぽつとセルモアはつぶやく。