小説,終末のヴァルキュリア

「たしか日向(ひゅうが)さんと三度戦ってアウティスは引き分けたって」

 日向さんの話となって僕は興味深く尋ねた。エイミアは足を組み片膝を抱える。

「正確には三回とも負けね。だいたい最後は、あれなんなのかしら?  ...

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「それで、何を話せば良いんだい、女王様」
「貴方のことが知りたいわ」

 変な話だ、エイミアはアウティスのヴァルキュリアだ。しかも僕に勝っている。今更、負け犬に何の興味があると言うんだ。

「僕はアウティス ...

小説,終末のヴァルキュリア

「アウティスの……ヴァルキュリア……⁉」

 僕の表情が強張ってくる。ということは明確な敵か……!

「そんなに怖い顔しないの、せっかちはダメ」

 エイミアの口調に眉をしかめた僕だった。

「 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ここはヴァルハラか……? 何も見えない。僕は何度死んだのだろう。何も聞こえない。じっとしていると胸の扉を叩く音がする、開いた瞬間、世界が広がる、風が胸に差し込み、外に広がるあれは空、雲、太陽。きっと僕は鳥になったのだろう。

小説,終末のヴァルキュリア

 静寂が訪れる、僕はにらみ続けたまま動かない、相手のスキをうかがっている、一手間違えれば、即死の戦い。ゆっくりと風が吹く、それは冷たい風、頬をかすめていく。

 今度はアウティスから動き出た、左手が、銃を構えている僕の右手を ...

小説,終末のヴァルキュリア

 黒い球体から液体が流れ飛んでいく。街の人々を襲い、どんどん溶かしていき、街中に響く阿鼻叫喚(あびきょうかん)。充満するむせかえるような肉が焦げる匂い。どんどん人の命が失われていく──!

「ギャアァァ────!」

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 アウティスに気づかれないよう遠距離で射撃しないと、空気の膜で弾を防がれてしまう。──なら、距離をとらなければ。

 アウティスが右手を掲げると黄金色の巨大な球体が再び現れた。

「これこそ神の慈悲だ!」

小説,終末のヴァルキュリア

迫り来る雷(いかづち)、輝く雷光。僕は慌てて移動し、身を伏せてかわそうとする。だが稲妻は僕を追って閃光を放つ──!

「グッアッ!」

 左手がわずかにかすり、僕は、体ごと空中へと弾き飛ばされた。大きな音を立てて、 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 時計の針は進んでいく。苦しみの暮らしを変えようと、多くの者が未来へ希望を抱き、それを望む。だが、誰しもそれを望んでいるわけではない。中には力尽くでその針を元に戻そうとする奴は必ずいる。……例え何かを犠牲にしても。

「おや ...

小説,終末のヴァルキュリア

 たいした騒ぎもなく過ぎていく日々。もう一週間になる、時は過ぎていき普通選挙の日だ、街は活気に満ちている。外に出れば行き交う人々、どこか期待のまなざし、それはこのこの街が進む道が希望へと進んでいると信じているからだろう。

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