小説,終末のヴァルキュリア

 たいした騒ぎもなく過ぎていく日々。もう一週間になる、時は過ぎていき普通選挙の日だ、街は活気に満ちている。外に出れば行き交う人々、どこか期待のまなざし、それはこのこの街が進む道が希望へと進んでいると信じているからだろう。

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小説,終末のヴァルキュリア

「事情は理解した」

 ミランディアの教会の中で僕は頭を抱えた、こういう事態は考えてなかった、民衆とはこんなにももろいものか。メリッサのちょっとした質(たち)の悪いいたずらだと思ったらここまで事態が発展しているとは。 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「佑月、昼食ができたぞ」

 ごとりと、テーブルに置かれる木のトレイ。現れたのはパスタとシチューとチーズをのせて焼いた豚肉らしい肉のロースだった。メリッサは自信たっぷりにこちらの顔をちらりと見る。これは見るからに美味そうだ… ...

小説,終末のヴァルキュリア

 夜が明け、今日も気持ちのいい朝が訪れたなあ。昨日は良く休めた、筋肉がよくほぐれており、小気味よく首や腰をならす。

「おはよう」

 メリッサが唇を当てて来た。ほんのりとした温かさが僕の唇を安らげる。僕の唇は君の ...

小説,終末のヴァルキュリア

 明々と陽光がまぶたに差し込んでくる。最近ここいらは太陽の日差しが痛いほど眩しい。そろそろ夏なのだろうか。太陽光に目をやられないよう目をゆっくりと明るさに慣らしながら見開く。しかし、外を見るともう夕暮れだ。……えっ、昼寝した記憶がわず ...

小説,終末のヴァルキュリア

 また僕たちは、穏やかな日々に戻った、キャラディスの毒を飲まされた街の人々は後遺症で苦しんでいるらしいが、ナオコはそんなことなくすっかり元気だ、やっぱりエインヘリャルなんだな、僕はその様子に安心した。

「ママ―、この本なん ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ひたりと水雫が石畳のもとに落ちる、ここは僕がメリッサに頼んで借りてもらったミランディア役所の監獄の一つ、石造りの地下室で、どんな声が聴こえようとかまわない、ここなら周りに気にせず自由に僕は能力を発揮できる。

「……こ、こ ...

小説,終末のヴァルキュリア

「あ、あ、来るな! 来るな──!」

 キャラディスとか呼ばれた男はおびえ切っている、頑丈な鉄扉を破壊した威力に恐れをなしたのだろうか、抵抗らしい抵抗がない。僕は相手の能力を測りかねていた。──これは演技か? それとも罠か? ...

小説,終末のヴァルキュリア

「ここかい? メリッサ」

 僕とメリッサは街の郊外の小さな家の前にやって来ていた、どこも不自然な点は見当たらない、人の住んでいることがわかるように生活感があり、薪や生活用品が樽や木箱の中に入っていた。

「ああ、 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ひたり、ひたりと水が滴(したた)り落ちる音がする、ナオコが目を覚ますとそこはまた石牢の中だった。暗く灯りがなく心細さが体を凍えさせ、ナオコが起き上がろうとすると頬が地面の石に張り付いている、痛みをこらえながらはがすとべりっと小さく音 ...