小説,終末のヴァルキュリア

「それで、何を話せば良いんだい、女王様」
「貴方のことが知りたいわ」

 変な話だ、エイミアはアウティスのヴァルキュリアだ。しかも僕に勝っている。今更、負け犬に何の興味があると言うんだ。

「僕はアウティス ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ここはヴァルハラか……? 何も見えない。僕は何度死んだのだろう。何も聞こえない。じっとしていると胸の扉を叩く音がする、開いた瞬間、世界が広がる、風が胸に差し込み、外に広がるあれは空、雲、太陽。きっと僕は鳥になったのだろう。

小説,終末のヴァルキュリア

 静寂が訪れる、僕はにらみ続けたまま動かない、相手のスキをうかがっている、一手間違えれば、即死の戦い。ゆっくりと風が吹く、それは冷たい風、頬をかすめていく。

 今度はアウティスから動き出た、左手が、銃を構えている僕の右手を ...

小説,終末のヴァルキュリア

 黒い球体から液体が流れ飛んでいく。街の人々を襲い、どんどん溶かしていき、街中に響く阿鼻叫喚(あびきょうかん)。充満するむせかえるような肉が焦げる匂い。どんどん人の命が失われていく──!

「ギャアァァ────!」

小説,終末のヴァルキュリア

 アウティスに気づかれないよう遠距離で射撃しないと、空気の膜で弾を防がれてしまう。──なら、距離をとらなければ。

 アウティスが右手を掲げると黄金色の巨大な球体が再び現れた。

「これこそ神の慈悲だ!」

小説,終末のヴァルキュリア

迫り来る雷(いかづち)、輝く雷光。僕は慌てて移動し、身を伏せてかわそうとする。だが稲妻は僕を追って閃光を放つ──!

「グッアッ!」

 左手がわずかにかすり、僕は、体ごと空中へと弾き飛ばされた。大きな音を立てて、 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 たいした騒ぎもなく過ぎていく日々。もう一週間になる、時は過ぎていき普通選挙の日だ、街は活気に満ちている。外に出れば行き交う人々、どこか期待のまなざし、それはこのこの街が進む道が希望へと進んでいると信じているからだろう。

...

小説,終末のヴァルキュリア

 ひたりと水雫が石畳のもとに落ちる、ここは僕がメリッサに頼んで借りてもらったミランディア役所の監獄の一つ、石造りの地下室で、どんな声が聴こえようとかまわない、ここなら周りに気にせず自由に僕は能力を発揮できる。

「……こ、こ ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ひたり、ひたりと水が滴(したた)り落ちる音がする、ナオコが目を覚ますとそこはまた石牢の中だった。暗く灯りがなく心細さが体を凍えさせ、ナオコが起き上がろうとすると頬が地面の石に張り付いている、痛みをこらえながらはがすとべりっと小さく音 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 穏やかな時間が僕には流れていた、森の中鳥たちの囀(さえず)りに歌われて、子ウサギに似た小動物に対し銃で仕留めた。一応、メリッサは家出したとはいえ、武器だけは渡して出ていった、つまり帰る気があるのだろう。なら、僕の誠意次第かな。