小説,終末のヴァルキュリア

 勝利を得るには二通りのパターンがある。元から自分の力が相手を上回っているか、劣っていると自分を認識しながら戦いの中で活路を見いだすか。自分を知らない人間は弱者に勝てても強者には勝てない。

 僕が今まで勝ててきたのは、自分 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 人は安らぎを求める。誰もが孤独を望みながら、寂しさから何かに救いを求める。人間の性(さが)だ。アウティスは神による安らぎを願った。僕とメリッサは互いの祝福、家族という安らぎを願った。

 救われるのはアウティスか、僕か、人 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 戦いに意味を求めるアウティス。しかし僕の心は乾いている、戦いには現実があるだけ、そこに意味は無いと考えている。だが、意味があるとしたら、僕はちっぽけな戦士で、家族を守ることしかできない、しがない中年だったということだ。

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小説,終末のヴァルキュリア

「佑月ぃいいいい───!!」

 メリッサの声が響き渡った。ドォンと大きな音を立てて、閃光が地面を打ち砕く。

「何だと……!?」

 僕は首を横に向けギリギリのところで閃光を避けていた。頭の中に文字が浮 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 アウティスは右手を掲げ青き光の球体を生み出す。小さな光の球たちが部屋中に浮かび光り輝く。

 ──僕はぞっとした。アウティスの頬がこけ痩せ細っており、髪が折りくねっている。黒い法衣に身を包まれ目は地獄から天国を見つめるよう ...

小説,終末のヴァルキュリア

「はあぁ───!!!」

 エイミアが兵士の中に突撃していく。長剣を巧みに剣でさばき次々と兵士をなぎ倒していった。

 これはチャンスだ。門の兵士たちがエイミアに気をとられているうちに館に侵入しよう。……たぶんエイ ...

小説,終末のヴァルキュリア

 静寂が訪れる、僕はにらみ続けたまま動かない、相手のスキをうかがっている、一手間違えれば、即死の戦い。ゆっくりと風が吹く、それは冷たい風、頬をかすめていく。

 今度はアウティスから動き出た、左手が、銃を構えている僕の右手を ...

小説,終末のヴァルキュリア

 黒い球体から液体が流れ飛んでいく。街の人々を襲い、どんどん溶かしていき、街中に響く阿鼻叫喚(あびきょうかん)。充満するむせかえるような肉が焦げる匂い。どんどん人の命が失われていく──!

「ギャアァァ────!」

小説,終末のヴァルキュリア

 アウティスに気づかれないよう遠距離で射撃しないと、空気の膜で弾を防がれてしまう。──なら、距離をとらなければ。

 アウティスが右手を掲げると黄金色の巨大な球体が再び現れた。

「これこそ神の慈悲だ!」

小説,終末のヴァルキュリア

迫り来る雷(いかづち)、輝く雷光。僕は慌てて移動し、身を伏せてかわそうとする。だが稲妻は僕を追って閃光を放つ──!

「グッアッ!」

 左手がわずかにかすり、僕は、体ごと空中へと弾き飛ばされた。大きな音を立てて、 ...