小説,終末のヴァルキュリア

 そのまま商人の館で一泊とめてもらった後、これから僕たちはどうするべきか相談し合った。そしてメリッサは少しうつむいて静かに告げる。

「教会団の本拠地に殴り込むよりも先にやるべきことができた」

 僕はメリッサとエ ...

小説,終末のヴァルキュリア

「パパ~ママ~」

 僕たちは商人の館に入り、迎えるナオコ。トテトテと軽快な音がする。そして銀髪のメリッサの胸の中に顔を埋める黒髪の娘。メリッサはぎっしりと強く抱きしめる。

「ママ! 会いたかった」
「す ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ガラスの窓から光りが僕たちを照らし出す。それは白く濁った光で太陽をわずかに拒む。世界が僕たちを引き裂こうと、この唇は止められない。頬を染め合う僕とメリッサ。そこには少年と少女がいた。

 この世界の果てで抱きしめ合う体、僕 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「馬鹿な……私が負けるだと……?」

 赤い血の塊を吐き、おびただしい銃弾を受けて黒い法衣がさらにどす黒く濡れていく。そして、一歩、一歩、螺旋階段を後ずさりするアウティスだった。

「私は……神に選ばれたはず……な ...

小説,終末のヴァルキュリア

 勝利を得るには二通りのパターンがある。元から自分の力が相手を上回っているか、劣っていると自分を認識しながら戦いの中で活路を見いだすか。自分を知らない人間は弱者に勝てても強者には勝てない。

 僕が今まで勝ててきたのは、自分 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 人は安らぎを求める。誰もが孤独を望みながら、寂しさから何かに救いを求める。人間の性(さが)だ。アウティスは神による安らぎを願った。僕とメリッサは互いの祝福、家族という安らぎを願った。

 救われるのはアウティスか、僕か、人 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 戦いに意味を求めるアウティス。しかし僕の心は乾いている、戦いには現実があるだけ、そこに意味は無いと考えている。だが、意味があるとしたら、僕はちっぽけな戦士で、家族を守ることしかできない、しがない中年だったということだ。

...

小説,終末のヴァルキュリア

「佑月ぃいいいい───!!」

 メリッサの声が響き渡った。ドォンと大きな音を立てて、閃光が地面を打ち砕く。

「何だと……!?」

 僕は首を横に向けギリギリのところで閃光を避けていた。頭の中に文字が浮 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 アウティスは右手を掲げ青き光の球体を生み出す。小さな光の球たちが部屋中に浮かび光り輝く。

 ──僕はぞっとした。アウティスの頬がこけ痩せ細っており、髪が折りくねっている。黒い法衣に身を包まれ目は地獄から天国を見つめるよう ...

小説,終末のヴァルキュリア

「はあぁ───!!!」

 エイミアが兵士の中に突撃していく。長剣を巧みに剣でさばき次々と兵士をなぎ倒していった。

 これはチャンスだ。門の兵士たちがエイミアに気をとられているうちに館に侵入しよう。……たぶんエイ ...