小説,終末のヴァルキュリア

 門をくぐると、世界がカラーパレットに彩られていた。

 赤い屋根、青い店の看板、薄く黄ばんだ煉瓦造りの家、植えられた街路樹の緑、濃紫の教会。前に見えるのは透き通った水色の噴水、屋根が光りに照らされ橙(だいだい)色に輝く。

小説,終末のヴァルキュリア

 風に吹かれて戦乙女の銀色の髪が舞う。揺らめく黄緑の木々の葉が囁(ささや)くように、僕たちの旅路を歓迎する。葉の間隙(かんげき)からオレンジ色の光が差し込む。柔らかな森の只中、僕たちは一歩一歩足を進めていく。

「ママ~!  ...

小説,終末のヴァルキュリア

 朝日が窓から差し込んだ。天(あめ)から降り注ぐ光が僕には眩くて、胡乱(うろん)げに目をしかめる。

 椅子に座りティータイムに勤しむ僕は、俗世との乖離(かいり)を憶え、何か優越感に浸っていた。

 この茶葉はこの ...

小説,終末のヴァルキュリア

 日は沈み、静かなる安息の夜を迎えた。昼間の騒動も落ち着き、人々には休息が必要だった。もちろん僕たちにも。

 僕とメリッサとナオコは宿屋の大きなベッドで川の字で目をつぶっていた。無論真ん中はナオコだ、変な想像はよしてくれ。 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「佑月! 一気に潰すぞ」
「それは得策ではないんじゃないかな。相手の能力自体が非常に高い、能力を生かして守りに入られると厄介だ。あの性格だとすぐにやってくるだろう、それを迎撃したほうが効率がいい」

「何故消極的にな ...

小説,終末のヴァルキュリア

「あきれたものだ。連れて帰ってくるとはな」

 メリッサは眉をひそめて、じっとりとした湿っぽい目でこちらを見る。僕が日向さん似の女の子を連れて宿へと帰った時、そろりと部屋に入った途端、浴びせられた最初の小言がこれだ。 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 夕食はメリッサが作ってくれた。緑、橙、赤、紫、色とりどりの野菜の入っており、肉汁たっぷりでこってりとした角肉が浮いている、見るからに美味しそうなスープだ。

 この時代の硬いパンはもう慣れた、これを我慢すれば僕にとって最高 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「おい、やめろ!」

 僕は男の店の主人の腕をつかみ、幼女との間に入って暴行を止めた。衝動的な感情に駆られて体は理性ではなく情で動いていた。

「なんだあ、てめえ。外人か、すっこん出ろ!」
 男の店の主人に ...

小説,終末のヴァルキュリア

「風が気持ちいいー」

 柔らかな銀色の髪の毛を風になびかせながら、メリッサは僕のとなりで馬車の揺らぎに身を任せている。僕はそれを眩しそうに見つめていた、彼女だけは失ってはならない、メリッサは僕のすべてだ。

 実 ...

小説,終末のヴァルキュリア

僕は砂漠の薔薇に恋い焦がれた

灼熱の大地の中、香り立つ甘い花

誰れかがいるのか、誰れかがいないのか

すべては砂の粒、このコンクリートでさえも

世界を潤す雨の粒

紅い花びらを艶 ...