小説,終末のヴァルキュリア

「パパ~ママ~」

 僕たちは商人の館に入り、迎えるナオコ。トテトテと軽快な音がする。そして銀髪のメリッサの胸の中に顔を埋める黒髪の娘。メリッサはぎっしりと強く抱きしめる。

「ママ! 会いたかった」
「す ...

小説,終末のヴァルキュリア

 ガラスの窓から光りが僕たちを照らし出す。それは白く濁った光で太陽をわずかに拒む。世界が僕たちを引き裂こうと、この唇は止められない。頬を染め合う僕とメリッサ。そこには少年と少女がいた。

 この世界の果てで抱きしめ合う体、僕 ...

小説,終末のヴァルキュリア

「馬鹿な……私が負けるだと……?」

 赤い血の塊を吐き、おびただしい銃弾を受けて黒い法衣がさらにどす黒く濡れていく。そして、一歩、一歩、螺旋階段を後ずさりするアウティスだった。

「私は……神に選ばれたはず……な ...

小説,終末のヴァルキュリア

 戦いに意味を求めるアウティス。しかし僕の心は乾いている、戦いには現実があるだけ、そこに意味は無いと考えている。だが、意味があるとしたら、僕はちっぽけな戦士で、家族を守ることしかできない、しがない中年だったということだ。

...

小説,終末のヴァルキュリア

「たしか日向(ひゅうが)さんと三度戦ってアウティスは引き分けたって」

 日向さんの話となって僕は興味深く尋ねた。エイミアは足を組み片膝を抱える。

「正確には三回とも負けね。だいたい最後は、あれなんなのかしら?  ...

小説,終末のヴァルキュリア

 静寂が訪れる、僕はにらみ続けたまま動かない、相手のスキをうかがっている、一手間違えれば、即死の戦い。ゆっくりと風が吹く、それは冷たい風、頬をかすめていく。

 今度はアウティスから動き出た、左手が、銃を構えている僕の右手を ...

小説,終末のヴァルキュリア

「事情は理解した」

 ミランディアの教会の中で僕は頭を抱えた、こういう事態は考えてなかった、民衆とはこんなにももろいものか。メリッサのちょっとした質(たち)の悪いいたずらだと思ったらここまで事態が発展しているとは。 ...

小説,終末のヴァルキュリア

 夜が明け、今日も気持ちのいい朝が訪れたなあ。昨日は良く休めた、筋肉がよくほぐれており、小気味よく首や腰をならす。

「おはよう」

 メリッサが唇を当てて来た。ほんのりとした温かさが僕の唇を安らげる。僕の唇は君の ...

小説,終末のヴァルキュリア

 明々と陽光がまぶたに差し込んでくる。最近ここいらは太陽の日差しが痛いほど眩しい。そろそろ夏なのだろうか。太陽光に目をやられないよう目をゆっくりと明るさに慣らしながら見開く。しかし、外を見るともう夕暮れだ。……えっ、昼寝した記憶がわず ...

小説,終末のヴァルキュリア

 また僕たちは、穏やかな日々に戻った、キャラディスの毒を飲まされた街の人々は後遺症で苦しんでいるらしいが、ナオコはそんなことなくすっかり元気だ、やっぱりエインヘリャルなんだな、僕はその様子に安心した。

「ママ―、この本なん ...